講師
田中伸明 Nobuaki Tanaka
M.A. (Historische Musikwissenschaft)
ドイツ語教授歴
2020年からオンラインでドイツ語の個別指導をはじめ、これまで10歳から96歳まで、大学・大学院入試から語学検定試験合格、神学書の文献講読に至るまで、多種多様な年齢・目的を持った方々を相手にドイツ語を教えて参りました。2024年4月からは、千葉工業大学にてドイツ語の非常勤講師も務めます。
今までの対応・合格実績
Goethe Sprachzertifikat A1, A2, B1; Zürcher Hochschule der Künste (チューリヒ芸術大学), 東京藝術大学大学院音楽研究科、京都市立芸術大学大学院音楽研究科
学歴
1994年生まれ。江戸川学園取手高等学校(茨城県)を卒業後、2012年4月に国際基督教大学(東京)に進学。同大学を卒業後、レーゲンスブルク大学哲学部(ドイツ)に進学し音楽学研究科で学修。課程修了により修士(歴史音楽学)。2020年1月からヴュルツブルク音楽大学で博士課程に在籍。2024年1月に日本に帰国。博論執筆・研究を続けながら、大学・学習塾等で教鞭を取る。
研究歴
これまでの私の研究を紹介します。皆様の講師としてふさわしい人材かどうか、見定めるためにご活用ください。
修士課程を全てドイツ語により修了し、修士論文では最優秀(評価: sehr gut; 95/100相当)の評価をいただいて博士課程に進学してから、私は基本的に、すべての研究成果(論文)を英語かドイツ語で発表してきました。私は、「大王」として知られるプロイセン王フリードリヒ2世の宮廷音楽について研究しており、その中でもとりわけ、宮廷ヴァイオリン奏者としてフリードリヒから寵愛された、フランツ・ベンダという音楽家について専門的に調査しています(☞Wikiの記事; ☞ベンダ協会のホームページ)。2021年3月に出版した研究では、ドレースデンの大学図書館に所蔵されているベンダの楽譜を調べ、その成立背景や書き手(コピイスト)、また受容の様相について報告しました。☞このリンクから論文をご覧いただけます。
図書館に眠っている資料のうち、検討の対象としてきたのは楽譜だけではありません。ベルリンの旧プロイセン枢密文書館に保管されている、宮廷楽団の会計資料を網羅的に調査したこともあります。その過程を経て、18世紀以前の筆記体に習熟することができましたし、重大な発見も1つすることができました。これまで多くの資料で「楽師長 Konzertmeister」とされ、その称号については疑われてこなかったベンダでしたが、会計の記録上、その称号授与は正式には行われていない可能性が高くなってきたのです。当時、ベンダは非常に有名なヴァイオリニストで、フリードリヒ大王からも寵愛されていましたので、「ベンダ=高位の音楽家→楽師長」という誤った認識が、人々の間で特に不審なく共有された結果だったのかもしれません。その顛末は、チェコ科学アカデミーが発行する音楽学の専門誌に掲載されました(☞論文へのリンク。まだオープン・アクセスになっておらず、閲覧はできません)。
宮廷楽団の会計簿から。ベンダ(上から6行目)ら数人に、前任の楽師長死去を通じ俸給を追加する旨の記載箇所。称号も引き継がれる場合、通常であればこの近辺に記載があるべきだが、該当するような記述はない。「称号授与が正式に行われていないのではないか」と疑う一つの根拠となった(最終的な判断は、他の要因も併せて検討した結果である)。
いま上で紹介した2つの研究のほかにも、私はこれまで4本の論文をドイツ語で発表しており、その一つが日本国内の学術誌(日本音楽学会発行の『音楽学』)に掲載されたことを除けば、論考はすべて国外の学術誌に掲載されています。当然、すべて査読を経て掲載に至りました。そのうち1つは、1918年以来刊行が続けられ、現在でも音楽学の領域では「トップ・ジャーナル」の1つと目されている学術誌への掲載となりました。(☞論文へのリンク。まだオープン・アクセスになっておらず、閲覧はできません)その他、ベンダに関する研究が認められ作品録音に解説を寄せたり(☞CDの発売元へのリンク。Naxos Japanを通じ、現在はHMVなど輸入CD大手でも購入が可能になっています。解説はブックレットとしてCD内に収められています)、このようにチェコに呼ばれて講演をしたこともあります(ドイツ語・チェコ語通訳付き)。
その他、また詳細な研究業績については、☞こちらのページもご参照下さい。
上記で紹介したような研究活動を通じ、私はこれまで、ドイツ音楽を専門とする研究者としてふさわしい経験・学識を積み重ねてきたつもりでおります。研究する中で、音楽の分野に限らない幅広い文献を読む機会にも恵まれ、専門性は当然劣るものの、ドイツ語で書かれた広範囲の学術的文献、また文学作品についても、それらを適切に読み解く術を身につけて参りました。旧活字、筆記体についても相当習熟し、現代のドイツ人が読めない書体であっても、ほぼ難なく解読できるようになりました(筆記体は活字と違い、個々人の書き癖が明白に出るため、解読に時間が少しかかることもあります)。現在も、これまで活字化の機会がなく手稿でのみ伝承されている音楽理論書(1751年清書; Abhandlung von der Musick, Verfasser: Johann Wilhelm Hertel)の現代字編集(=翻刻)を行っているところで、一両年内にベルギー王立図書館紀要(査読誌)から出版される手筈になっています。
以上が私の講師紹介となります。在独7年で身につけたドイツ語と専門的知見、そのどちらをも受講生の皆様と共有することができれば、との思いでこの講座を立ち上げました。レッスンを通じ、多くの皆様にドイツ語・ドイツ文化の真髄に触れていただければと思っています。☞無料体験レッスンのお申し込みをお待ちしています。
Allerlei (雑多なこと)
・資格 DSH-2 (CEFR C1/独検1級相当)
・好きな言葉/モットー 「後勘者知之」
(後に考えむ者これを知る; 歴史における異説を記し決定を後世に委ねる旨。『日本書紀』)
・趣味 室内楽(ヴァイオリン/ヴィオラ)・ビールを飲むこと